「ねぇねぇ!タイムカプセル埋めよ!!」


それは、さっちゃんの突然の提案から始まった。

小6の夏休み真っ只中、我が家でバーベキューをすることになり、せっかくなので春日井さんとさっちゃんにも声をかけた。

本当は蒼永くんも呼びたかったけど、今は中学入試前で忙しいみたい。
実家に帰るのも難しいそうだ。

お肉を食べながら、春日井さんが怪訝そうにさっちゃんを見返す。


「タイムカプセル?」

「そう!これ見て!」


さっちゃんが見せたのは、町内会のチラシだ。
夏休み中、小学生を対象にみんなでタイムカプセルを埋めようというイベントがあるらしい。


「これにみんなで参加しようよ!」

「へぇ、面白そうだね」

「でしょでしょ!」

「ふーん、まあいいわよ」

「やったぁ!実はね、蒼永にもやろうって言って九州からタイムカプセルに埋めたいもの、送ってもらったんだ〜」


そう言ってさっちゃんが見せたのは、一枚の封筒だった。


「わあ、いいねぇ」

「もちろん中身は見てないよ〜」

「九竜のことだから咲玖へのラブレターじゃない?」

「ラブレター??」


……ラブレターか。

さっちゃんはきょとんとしていたけど、僕の脳裏にはあることが過ぎっていた。