「……聞いてくれる?」
僕たちは駅前のベンチに座り、ポツポツと話した。
「…とゆうわけで、フラれちゃったんだ」
「フラれたわけじゃなくない?告ったわけじゃないんでしょ」
「でも、同じことだよ。
恋とか興味ないって、男の人が信用できないって言われたら、遠回しにフラれたみたいなものだよ」
……あ、自分で言っててすごく悲しくなってきた……。
「じゃあ、大志は諦めるの?」
「それは……」
言われて言葉に詰まり、考えてみた。
春日井さんを好きなことをやめられるか。
多分答えはNOだ。
少なくとも、今すぐにはやめられそうにない。
だけど、この恋を諦められるのかと聞かれたら、ちょっとわからないのが本音かも。
諦めたくないけど、春日井さんに嫌われるのも怖い。
嫌われるくらいなら、このまま友達でいられる方がいいのかもしれないし……。
「……ごめん、わかんないや。
諦めたくないけど、嫌われたくもないし……」
「俺は、絶対諦められないと思う。
咲玖に許嫁やめたいって言われても、離してあげられないと思う」
「蒼永くん……」
「嫌われたくないのもわかる。嫌われるくらいなら、今のままでもいいかなって思ったこともある。
でも、やっぱり嫌だ。
咲玖が好きだから、俺のことも好きになってもらいたい」
その時、初めて蒼永くんの本音を聞いた。
蒼永くんはさっちゃんと一緒にいられるなら、それでいいのかと思ってたけど、違ったんだ。



