「本当にもらっていいの……?」
「じいちゃん、あんまり音楽とか聞かないしいらないって」
「あ、ありがとう」
「う〜わたしまだリーチもないよ〜蒼永は?」
「ダブルリーチ」
「え〜!」
そして次の数字が出たところで、蒼永くんのビンゴが決まった。
「咲玖はどっちが欲しいの?」
「え?でも先にビンゴしたのは蒼永だよ?」
「俺はどっちでもいい」
「そうなの?じゃあ、こっち…」
さっちゃんが指差したのは、かなり大きめの袋だった。
中には大きなテディベアが入っていた。
「くまさんだー!」
「これも九竜のおじいさんの元教え子さんから?」
「いや、多分現教え子。確かおもちゃメーカーの社長の息子が空手習いに来てて…」
「どっちにしろすごいわね…」
「くまさんかわいい!」
くまさんをぎゅっと抱きしめて喜んでいるさっちゃんを見て、心なしか蒼永くんも嬉しそうにしていた。
さっちゃんのことになると蒼永くんは表情に出やすい。
ちなみに残った最後はなんと、ゲームソフトの詰め合わせ。
教え子の一人がやらなくなったソフトをお孫さんに…ということでプレゼントしてくれたらしい。
なのに。
「こんなにやらないからあげるよ」
と、僕と春日井さんももらってしまった。
いいのかな、こんなに高価なものばかり。
規格外のビンゴ大会が終わったところで、クリパはお開きとなった。



