「大丈夫だよっ!僕は桃しか見えてないから!」
今だってそう、他の誰も目に入らない。
イルミネーションよりも桃に目を奪われるくらいなんだから。
「…よそ見しないでね」
立ち止まって、桃は真っ直ぐ僕を見つめる。
僕を見上げるその瞳が潤んで見えるのは、多分気のせいじゃない。
「私はもう…大志がいないとダメなんだから…」
「よそ見なんかできないよ」
僕の腕にすっぽりと収まってしまう華奢な体を、ぎゅっと抱きしめた。
いつからだろう、桃の体がこんなに小さいと思うようになったのは。
「僕の心はいつも桃だけでいっぱいだから」
「…大志…っ」
僕の方こそ、君がいないとダメなんだ。
君じゃないと、ダメなんだよ。
しばらく抱きしめ合った後、桃を少し離した鞄からプレゼントを取り出した。
「これ…クリスマスプレゼント」
「ありがとう…私もこれ」
桃も僕に小さなプレゼントを渡してくれた。
「ありがとう。開けてみてもいい?」
「ええ、私も」
開けてみたら、メガネをかけたくまのイヤホンケースだった。
イヤホンケースはちょうど探していたところだったし、すごくかわいい。
「わあ、かわいい!」
「ちょっと大志に似てるでしょ?」
「え、そうかな?かわいすぎない?」
「かわいいわよ」



