* * *
忘れずにプレゼントを鞄に入れ、昂る気持ちを押さえながら家を出る。
なんだろう、とにかく早く桃に会いたい。
クリスマスイヴ効果なのかわからないけど、我ながらかなり浮かれていた。
だけど、最寄駅に向かう歩道橋を登ろうとしたところで、目の前から小さな男の子が走ってきた。
後ろから「待ちなさい!」という親御さんらしき人の声が聞こえるが、男の子は知らんぷりで歩道橋を駆け渡る。
しかし、そのままの勢いで階段を降りようとした結果、足を踏み外してしまった。
「――危ないっ!!」
咄嗟に男の子に駆け寄り、受け止めてそのまま階段に倒れ込む。
「いたた…大丈夫?」
すぐに血相を変えた親御さんが駆け付けた。男の子は怪我もなく、なんとか無事だ。
「本当にありがとうございます…!!」
「いえ、何ともなくてよかったです」
「お怪我はありませんか?」
「大丈夫です!」
手をついた時にちょっと擦りむいたけど、これくらいなら大丈夫だと思う。
だけど、擦りむいた手を見てその人が絆創膏を貼ってくれた。
「本当にすみませんでした」
「いえ、こちらこそありがとうございます!」
何度も何度もペコペコ頭を下げられながら見送られ、急いで駅に向かう。



