鬱々とした気持ちで登校した私に、咲玖は笑顔でこんな誘いをした。
「桃ちゃんっ!今日部活休みなら一緒にクリプレ買いに行かない?」
「クリプレ?」
「うん!蒼永へのクリプレ選びたくて。
桃ちゃんも大志くんへのプレゼント買うでしょ?」
まさか咲玖からそんな提案をされると思わず、何度も瞬きしてしまった。
「咲玖のことだから深い意味がないことはわかるけど…、ちょっと感動したわ」
「?」
「いいわよ。部活はないし行きましょう」
「やった〜!」
大志へのクリプレ、か。
「桃ちゃんは大志くんとデートするの?」
「さあ?」
「しないの!?」
「別に今のところは決めてないわね」
というか、イヴどうするかって話すらしてないわね。
「咲玖はどうするの?」
「うちはいつも通り、蒼永の家族と合同クリパかなぁ。蒼永は帰って来れないけど、テレビ電話するんだ」
「楽しそうね」
…そうよね、普通はクリスマスって家族や恋人、友達と楽しく過ごす日なのよね。
「おはよう、二人とも」
そこへ大志が登校してきた。
いつもよりだいぶゆっくりな登校ね。
「おはよう大志くん!」
「おはよう。今日はゆっくりだったのね」
「寝坊しちゃって…寝癖直す暇なかったよ」