衣装係の子たちはすごく落ち込んでいる。
せっかく心を込めて作ってくれたのに、悔しいな…。


「劇はどう?」

「常盤くんが繋いでくれてる」

「流石ね。ギリギリまで探してみるわ」

「うん、ありがとう!」


僕にも何かできることがあればいいんだけどな…。

その時、どこかでガタガタと何かの音がした。
聞き間違いかな?と思ったけど、他のみんなも聞こえたらしい。

冗談なのかわからないけど、おばけ?とかポルターガイスト?とかみんなざわつき出す。

まさかそんなわけないと思うけど…。
僕は恐る恐る音のする方へ近づいていった。

するとそこにいたのは、


「えっ犬!?」


なんとミニチュアダックスと思われる子犬だった!
なんでこんなところに!?

しかも、その子犬が咥えて遊んでいるのは


「ガラスの靴!!」


探し求めていたガラスの靴だった。
急いで桃たちに連絡し、靴があったことを伝える。

靴はヨダレでベトベトだったけど、傷ついたりはしていなかったので急いで拭いて除菌スプレーを吹きかけて、なんとか綺麗にした。

こうしてガラスの靴は無事にさっちゃんの足元へと戻った。


「やっぱりあの時の姫は、あなただったのですね」

「はい、王子様…!」


最後まで無事に駆け抜けることができ、鳴り止まない拍手とともに幕は閉じた。
何はともあれ、成功で終わることができた。