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本番当日。
保護者含め、たくさんのお客さんが集まっているのを袖から見て、思わず緊張で震える。
「どどどどうしよう大志くん…!!」
「さっちゃん落ち着いて!人という字を書いて飲み込むんだよ!」
「人人人…」
「大丈夫よ咲玖、大志!ここまでたくさん練習してきたんだから、自信持って!」
監督の桃が太鼓判を押してくれる。
「宣伝のおかげか、客入りも上々ね」
本番前、僕とさっちゃんは王子とシンデレラの衣装に着替え、「宣伝してこい」と校内を歩かされた。
これって思いっきりネタバレでは?と思ったけど、監督の命令なので仕方ない。
「1年で優勝は無理かもしれないけど、優秀賞くらいはもらいたいわね!
勝ったらクラスみんなで焼肉よ!」
「おぉーーーっ!!」
桃が先生に掛け合ってくれて、何か賞をもらえたらクラス全員で焼肉パーティー開催が決まり、みんな更にやる気が漲っている。
特に桃自身がやる気満々だ。
桃の意外とアツい一面がまた大好きなんだ。
僕も王子役頑張って、絶対成功させないと…!
「監督!!咲玖ちゃん!大変っ!!」
もうすぐ本番が始まるという時、衣装係の子が血相を変えて飛び込んできた。



