そんなわけで僕たちは、この日から春日井監督のスパルタ指導を受けているのでした……。

桃はやる気になったらとことんやるので、とにかく厳しい。
僕もさっちゃんもヒーヒー言いながら頑張ってる。

ちなみに王子役に決まったその日、僕は蒼永くんに電話で謝罪した。


「そういうわけで、僕が王子やることになっちゃって…!ごめんね蒼永くん!」

「…はあ。春日井は?」

「桃は監督になった!ものすごくしごかれてる!」

「そうなんだ…まあ、大志ならいいよ」


――ええっ!?


「いいの!?!?」

「うん」

「えっ、でもシンデレラがさっちゃんなんだよ…?」

「他の男がやるくらいなら大志でいい」


蒼永くん…っ!!

それは、僕のこと信頼してくれてるってこと…?
すごく嬉しいんだけど…!!


「ありがとう…っ!」


ちなみに蒼永くんには桃と付き合い始めたことも報告済みだ。
よかったね、と一言だけもらった。


「頑張るよ…!蒼永くんも大会頑張ってね!」

「ん。」


蒼永くんは1年生にして、空手も剣道も全国大会出場を決めたそうだ。
さっちゃんに会いたいのを我慢して頑張ってる蒼永くんの思いに応えるためにも、僕も真摯に役と向き合おう……!