桃まで何を言い出すの!?
絶対ダメだよね!?


「蒼永くんに申し訳ないよ!!」

「じゃあ、他の男が王子をやることになるのよ?」


……うっ。


「大志、はっきり言うわ。私は咲玖がシンデレラをやるなら他の男に王子はやらせたくない。
あなたがやるしかないのよ」

「ええ……」

「やるわよね?」


……あ、これ拒否権ないやつだ。


「…やります」


――ごめん、蒼永くんっ!!

後でちゃんと謝るから!!


「桃ちゃん、大志くん、ほんとにいいの…?」


さっちゃんはすごく申し訳なさそうに僕たちを見つめる。


「桃ちゃん、シンデレラ代わろうか…?」

「嫌よ。そもそも私は文化祭実行委員なんだから、主役なんてやる暇ないのよ」


そういえば、そうだった。
推薦されて桃が選ばれたんだった。

それを聞くと先生が、思いついたように言った。


「そうですね、実行委員の春日井さんに監督をお願いするのはどうでしょう?」

「えっ」

「監督は実質のまとめ役ですから、実行委員がやった方が動きやすいと思いますし、春日井さんなら任せられますよ」

「わかりました、監督やります」


意外にも桃はあっさりと了承した。


「咲玖、大志。やるからにはガチでやるわよ。
手抜いたら許さないからね」

「「は、はい……」」