「違う!!もっと感情込めて!!」
「はいっ!」
「大志はもっと台詞に間を置いて!!そこはシンデレラの美しさに見惚れる大事なシーンよ!!」
「はいっ!!」


えー、今僕とさっちゃんは、桃の怒号を受けています。


「二人とも真面目にやってるの!?」

「「やってます!!」」


スパルタな桃にしごかれまくり、僕もさっちゃんも必死になって台本と向き合う。

一体何をしているのかというと、時は1週間前に遡る。


* * *


「えー、我がクラスの文化祭の出し物は、演劇『シンデレラ』に決定しました!」


それは唐突に担任から言われた。
出し物を相談することもなく、いきなり演劇で決定していた。

もちろん、クラスからはブーイング。


「先生!なんで演劇で決定なんですか!?」
「しかもシンデレラまで決定!?」

「演劇部顧問のクラスになったからには、演劇をやってもらいます!大丈夫、台本はもうできてるから!」

「えぇーーーーー!?!?」


…そういえば、兄さんもうちの中学校の出身だけど、この先生のクラスになったら問答無用で演劇になるって聞いたことあるな。


「メインのシンデレラと王子様は平等にくじ引きで決めます!はい、男女それぞれ引いてください!」


先生の用意周到さに流されるしかなく、みんな渋々くじを引いた。
その結果、