「…蜜柑、ずるなんてしてない…。ほんとにお仕事が忙しかっただけなの…」
「うん」
「山本くんのことも、なんとも思ってないのに…っ」
「うん、わかってるわ」
桃はしゃがみ込んで、蜜柑ちゃんの頭を優しく撫でる。
「蜜柑だって、友達と遊びたかったんだよ…!」
「大丈夫、ちゃんとわかってるわ」
「うっ、え〜〜〜ん……」
ボロボロと涙をこぼす蜜柑ちゃんは、大人っぽく見えてもまだ幼い女の子なんだ。
モデルのお仕事を真面目に頑張っている反面、寂しい思いもしてたんだね…。
今日も本当は友達と来たかったのに……。
「ごめんね、蜜柑ちゃん。
蜜柑ちゃんの気持ち、ちゃんと考えられてなかった」
「大ちゃん…蜜柑の方こそ、ごめんなさい。
わがまま言って、困らせて……」
「そんなことないよ」
「ほんとはわかってたよ…。だって桃乃さん、めっちゃ大人っぽくて美人だから…絶対敵わないって思ってたけど、悔しかったの…っ」
「蜜柑ちゃん、ありがとう。僕なんかのこと、好きになってくれて」
「う〜…大ちゃんのばかぁ」
ごめんね、蜜柑ちゃん。
蜜柑ちゃんのことはかわいい妹みたいに思ってるけど、僕が女の子として好きなのは桃だけなんだ。
ごめんね、ありがとう。



