「出会いは小3の2学期に僕が転校してきて、一目惚れで…」
「あらあら」
大志も真面目に答えるからすごく恥ずかしいんだけど!!
いたたまれなくなった私は、お茶菓子を買ってくると言ってコンビニに向かった。
あのまま話を聞いていたら、恥ずかしさで死にそうになるところだったわ……。
テキトーにクッキーとアイスを買って、帰宅した。
ただいま、とリビングに入ろうとしたら、お母さんと大志が何やら真面目に話をしているようだ。
私はドアの前で聞き耳を立てた。
「…聞いてるかもしれないけど、うちは離婚しててね。それからあの子には、随分寂しい思いさせてきたと思ってる。
絶対口には出さないけどね」
お母さん――…。
「自立して稼いでお母さんを支えるなんて言ってくれて、嬉しかったけど相当傷付けたんだなとも思ったわ。
だから、今日大志くんと会えてすごく嬉しかった。桃乃にも頼れる人ができたんだなって」
「頼ってもらえてるのかわかりませんけど…、でも桃乃さんがずっと笑顔でいられるように、大切にします!」
大志の表情は見えなかったけど、とても真剣な表情で話してくれているんだろうなぁと…そう思ったら自然と涙がこぼれてきた。
「ありがとう。桃乃のこと、よろしくね」
「はい!」
…大志を好きになってよかった。
私もこの人を大切にしていきたい――…



