家の前で今帰宅したであろう、お母さんと鉢合わせる。


「おっお母さん…!」

「今帰り?おかえり…」


お母さんの視線は、下の方を向く。
繋がれた手をじっと見つめられ、慌てて離したけどもう遅い。


「あのっ、これは…っ」

「初めまして!黄瀬大志といいますっ!
桃乃さんとお付き合いさせていただいてますっ」


私が言うより先に、大志が丁寧に自己紹介して頭を下げた。
体温が上がっていくのを感じる。

お母さんは目をパチクリさせていた。


「…あらまあ。まさか桃乃に彼氏が…。
大志くんだっけ?良かったらお茶でも飲んでいかない?」

「えっ」


まさかのお母さんの提案で、大志がうちに来ることに。
友達ですら咲玖しか呼んだことないのに、まさか彼氏を呼ぶことになるなんて……。

チラッと隣を見ると、大志の表情がやけに硬い。
緊張してるのかしら……?


「娘の彼氏に会うなんて初めてよ!
お姉ちゃんは全然連れて来ないの」

「そうなんですか…?」


お姉ちゃんはすぐ彼氏変わるからね……。
もはや付き合ってるのかどうかもよくわからないけど。


「だからガラにもなくはしゃいでるの!ごめんなさいね」

「い、いえっ」


お母さんは大志に色々聞きたがり、いつ出会ったとかどっちから告白したのかと質問する。