地味系男子が本気を出したら。



私が初めて恋をする相手は大志がいい。
ううん、大志じゃないとダメなんだわ――…


* * *


「あっ黄瀬っちじゃん。お久〜」
「今日もイケメンだね!」

「あっ先輩方…お久しぶりです」


始業式が終わり、体育館から教室に戻る途中、2年生の女子が大志に声をかける。

何なの?馴れ馴れしいんじゃないの?


「知り合い?」

「同じ体育委員の先輩だよ。体育祭の準備で話すようになって」

「ふーーん」

「黄瀬くーーん!」


また別の2年生が大志に話しかける。


「あ、こんにちは」

「今のも体育委員?」

「いや?なんか先輩の友達とかで声かけてくれる人?」


――はあっ!?何なのよそれ!!


「大志くん、先輩にかわいがられてるんだねー」

「そうなのかな?」


そんなかわいいものじゃないわ!!
明らかに気があるじゃないの!!

大志はイメチェンしてからモテるようになったけど、2年生にも人気だったなんて。

大体みんな何なのよ!
大志は昔から優しくてカッコよかったのに、見た目が変わっただけでちやほやして!!

そもそも大志は私の彼氏なんだからっ!


「…桃?どうかした?」

「なんでもないっ」


私はずっと前から、大志のカッコよさを知ってたのよ――。