桃はグッズ売り場に目をやると、フェスTシャツを指差す。


「ねぇ、あれ買わない?」

「フェスT?いいね!フェスに来たって感じする!」

「あとタオルもね!ここまできたら、とことん盛り上がりましょ!」


桃の笑顔に思わずドキッとする。

…ああ、やっぱり好きだなぁ。

君を知る度にどんどん好きになる。
この気持ちに際限はないんだって思うくらい、また好きの気持ちが大きくなる。

それに、誰かといてこんなにも楽しいなんて、きっと君くらいだ。

――ねぇ、少しは桃の彼氏になれるように、近づけてるかな?


* * *


「大志って、意外と多趣味よね」


ホットドッグなどの軽食を食べて、しばしのブレイクタイム。


「そう?」

「だって夏はフェス、冬はスノボに行くんでしょ?」

「どっちも兄さんの影響だよ。兄さんにくっついてたらどっちもハマってたんだよね」

「お兄さんと仲良いのね」

「年が離れてるから可愛がってもらってるんだよね」

「そう、羨ましいわ」

「…桃は、お姉さんと最近どう?」


聞いてもいいのか少し迷ったけど、何となく最近は昔よりお姉さんの愚痴がなくなったような気がしていて。
思い切って尋ねてみた。