あの桃が珍しく興奮している。


「全然知らない人たちだったけど、すごくよかった!ヨーチューブチャンネル登録しちゃったわ」
「よかった!桃にハマるかもって思ってたんだ!」


音楽の趣味はなんとなく似てると思ってたし、誘ってよかった!
兄さんには悪いけど、マジでありがとう。


「フェスって初めて来たけど、意外とフリーな感じなのね。席とかないから最前列で聞けちゃったし、人ももっと多いのかと思ってた」

「今回はインディーズ中心だからね。
メジャーデビュー前だけどめっちゃツボるバンドに出会えたりするのが楽しいよ」

「なるほど!」

「気になるバンドあったらどんどん行ってみよ」

「だったら、あっちの方の…」


それから僕たちは、気になったバンド片っ端から聞きに行った。
どれも最高にアツくて盛り上がって、ずっと笑っていた。

いつもは見られない、桃のはしゃいだ姿も見られてめちゃくちゃ楽しかった。
いつもはクールなのに、盛り上がるところではめちゃくちゃ盛り上がるんだよね。

運動会とかいつもガチで走ってたし。
このギャップがまた、たまらなくかわいいんだよなぁ…。


「あーー!めっちゃ汗かいた!」
「ほんとに!僕も汗だくだよ」
「あっ」