「家に、帰りたくないんです。

私の家、お母さんが家事を全くしないんです。

お母さんはパートタイムで1時まで働いてるんですけど。

小さい妹と弟もいるのに、お世話もしなくて。


料理、洗濯とか家事全般も、保育園の送り迎えに行くのも私で。


それに対してお父さんは何も言わないんです。

「お母さんはお前を育てるためにじゅうぶん頑張ってきたんだから文句言うな」って…。


お母さんもお父さんも夜ご飯に文句を言ってきたり、何もしていないのに怒鳴ったり。

もう、疲れちゃって。」


涙ぐみながら話すと、先生は優しく相槌を打ちながら聞いてくれた。


「…辛かったな、よく頑張ったな。

ごめん、気づけなくて…」


「先生のせいじゃ、ないです。

きっと私が悪いから、」


「違うよ。幸は悪くないよ」


あ、名前…。

女の子の名前は呼ばない先生が、名前で呼んでくれた。

その分、言葉の暖かさが倍増して、わたしは号泣してしまった。


その間先生は、ずっと私の背中をさすってくれていた。