昨日のコピーのような一日だから時間が経つのは早く感じる。

 帰りのホームルームで一枚のプリントが配られた。普段は学校のプリントなど目も通さずゴミ箱行きだが、担任から軽い説明があったので読まざるを得なかった。

 都市開発について、書かれていた。

 日本は十年前、関東圏の大規模な都市開発を行い、その動きは今でも続いている。東京湾にまで繰り出す埋め立て地、森林の伐採、山の切り崩しに広がる都市化。数十年前に問題となっていた少子化から抜け出し、また世界中の人口爆発に伴って多くの移民を受け入れた。人々は関東圏、主に東京と神奈川に集中し、この急激な人口増加に伴って土地開拓をどんどん広げて行く現状である。

 そのプリントには小さな神社の取り壊しについても記載されていた。その神社は瑞己が小さい頃よく参拝に行っていたところだ。ここ数年は日本有数の大きな神社に行くようになったので、立ち寄る機会は減ってしまったが、古くてどこか神秘的で子供ながらに世界から切り離されたようなところだと感じていた。その土地に高層マンションを建てるようだ。

 強い思い入れがあるというわけではないが、自分の幼い頃の記憶まで壊されてしまうようで寂しさを覚えた。

 だから今日は少し遠回りして帰ることにした。部活もオフで塾もない日だったから家に帰ってもやることは勉強だけだ。気分転換にも丁度いい。