「好き」って言ってよ!

ぼんやりと窓の外を眺めていたので、どれくらい走っていたのかわからない。

「ついたぞ」

青葉に声をかけられたので、奈帆は車を降りた。

「植物園?」

青葉の運転で到着したところは植物園だった。

「今はひまわりが見頃を迎えているらしい」

いつの間にか自分の隣にきていた青葉が声をかけてきた。

「そうなんだ」

(花なんか見て何がおもしろいんだろう)

今日のデートが終わったら絶対に婚約破棄してもらおうと思っていたら、
「行くぞ」
と、青葉がそう言って手を繋いできた。

「ちょっと…!」

いつものようにその手を振り払おうとしたが、彼に手を引かれてしまったので払うことができなかった。

受付でチケットを買うと、植物園の中へと足を踏み入れた。