「好き」って言ってよ!

自分が乗ったのと同時に、奈帆は話したくないと言うように窓の外へと視線を向けた。

青葉は車を走らせると、本日の目的地へと向かった。

「途中で何か飲み物でも買うか?」

そう声をかけた青葉だったが、
「いらない」
と、奈帆に断られた。

「何か食べたい物はある?」

「欲しくない。

と言うか、朝ご飯はさっき食べたでしょ」

「昼ご飯とか夕ご飯とか何か食べたい物は…」

「ない、以上」

これ以上は話しかけるなと言うオーラを出されたので、青葉は口を閉じた。

当然のことながら、車の中は沈黙に包まれた。

(これ以上は機嫌を損ねられないように気をつけないとな)

ただでさえ自分はこれまでの行いのせいで彼女に嫌われているのだから。