「好き」って言ってよ!

青葉に怒鳴られた奈帆は大きな目に涙をいっぱい溜めた。

何かを言いたくても、唇が震えているせいで何も言い返すことができない。

「あっ…」

気がついた時は、もう遅かった。

奈帆は自分から目をそらしたかと思ったら、その場から逃げ出した。

「奈帆ちゃん!」

哲郎が彼女を追いかけるために、その場から立ち去った。

青葉は自分のせいで奈帆を泣かせてしまったと言うその事実に、彼女を追うことができなかった。

「ーーナホちゃん…」

もういなくなってしまった奈帆に向かって名前を呼んだが、彼女がここへ戻ってくることはなかった。

「ーーナホちゃん…僕…」

青葉はその場に座り込んだ。

「ーーごめんなさい…ナホちゃん、ごめんなさい…ごめんなさい…」

青葉は震える声で、何度も呟いた。