(何とか婚約破棄へと持って行けたわ…)

奈帆は心の中で呟くと、ホッと胸をなで下ろした。

「奈帆?」

青葉に名前を呼ばれたので、
「さっきの約束、絶対に忘れないでよ!

私はまだあなたを許した訳じゃないから!」
と、奈帆は言い返した。

「わかってる、信用を得られていないことも知ってるから」

「ならいいわ」

奈帆はフンと息を吐くと、
「それじゃあ」
と、青葉から離れるとリビングを通り過ぎた。

バタンと、奈帆の自室のドアが閉まった音が聞こえた。

「はあ…」

デートの約束を取りつけることに成功した青葉は息を吐いた。

「後は…どうやったら、奈帆の信用を得ることができるのかいろいろと考えないとな」

何としてでも成功させて、奈帆から婚約者として人間としての信用を得ようと、青葉は考えた。