自分が首を縦に振って返事をしない限り、青葉はデートをして欲しいと言い続けることだろう。

「一応聞くけど、デートをするのはそれ1回だけなんだよね?」

そう聞いてきた奈帆に青葉の顔が明るくなった。

「デートをするって…」

「最後まで話を聞いて」

奈帆はそう前置きをすると、
「そのデートで、もし私が信用を得ることができなかった場合はどうするの?

その時は婚約破棄をしてくれるの?」
と、青葉に聞いた。

「えっ、いや…」

「あなたは私とデートをすることで信用を得ようとしているけれど、もしダメだった場合は婚約破棄をしてくれるの?

本当のことを言うと、私はあなたとデートをしたくない今すぐに婚約破棄をしたい、それだけよ」

今度は青葉が何も言い返せなくなる番だった。