「で、デート!?

あんた、自分が何を言ってるかわかってんの!?」

青葉の口から出てきたその言葉が信じられなくて、奈帆は驚いて聞き返した。

「わかってるから言っているんだ。

君の信用を得たいから、そのためにもデートをしたい」

青葉は言った。

「えっ、今さらじゃない?」

「今さらも何も、2人でどこかへ出かけたことなんてないだろう」

「いや、そうだけど…」

青葉の言う通り、確かに2人でどこかへ出かけるなんて言うことはなかった。

自分たちが顔をあわせるのは基本は両家が集まった時、それも年に2、3回程度だった…と思う。

お互いが会わない間に連絡をとりあうなんて言うこともなかった。

「ちょ、ちょっと待ってよ!」

奈帆は握っている青葉の手を振り払った。