「好き」って言ってよ！

「君の後ろに常にいた彼ーー前坂くんをにらんでいたんだ」

そう言った青葉に、
「つまり、哲郎を嫌っていたって言うことなの？」

奈帆は聞き返した。

「それも違う、君が彼と一緒にいるのが嫌だったからにらんでしまったんだ。

早い話が顔に出てしまった…と言うところだな。

なのに、君はいつも彼と一緒にいるうえに仲がいいし…僕には全く笑いかけてくれたこともないのに、彼には笑いかけているし」

そう言って目を伏せた青葉に、
「笑いかけてくれないと言うところは、あなたもあなたです。

私が話しかけても無視するうえに逃げられるーー親に決められた関係だとは言え、それなりに距離を縮めようと頑張っている私の気持ちを考えたことがあるんですか？」
と、奈帆は言い返した。