「好き」って言ってよ！

その日の夜。

「お話があります」

夕飯を食べ終わって後片づけを済ませると、奈帆は青葉に声をかけた。

「何だ？」

そう聞いてきた青葉に、
「私がどうしてあなたと婚約破棄をしたいかと言う理由についてお話をしたいと思います」
と、奈帆は答えた。

「えっ…？」

「今からそれをお話いたします」

奈帆はそう前置きをすると、
「あなたの私に対する態度が嫌いだったからです」
と、言った。

「うん…」

哲郎や川西から聞いていたとは言え、改めて本人の口から直接聞かされた青葉は返事をすることしかできなかった。

「あなた、私と顔をあわせるたびにいつもにらんでいましたよね？」

そう言った奈帆に、
「それは悪かったと思ってる。

けれど、それにはちゃんとした理由があるんだ。

君を嫌いだからと言う理由でにらんでいた訳じゃないんだ」

青葉は言った。