数日後。

「デートをしてみると言うのはいかがでしょうか?」

「デート?」

そう言った川西に青葉は思わず聞き返した。

会議のために10日ぶりに川西を『二月銀行』の本社へと戻らせた青葉は、会議が終わるとすぐに奈帆との関係を彼女に相談した。

「簡単に申しあげますと、丸山さんはあなたのことを嫌っています」

オブラートにも包まずに率直に言った川西に、
「そ、そうか…」

青葉は両手で頭を抱えたくなった。

「幼い頃に飛行機事故で両親を亡くして父方の祖父母の元に引き取られて彼らに育ててもらったと言う恩があなたにはある。

その恩を仇で返す訳にはいかないから結婚させられるんだと、丸山さんはおっしゃっていました」

「えっ…?」

青葉は思わず聞き返した。