「父は私のことは一応認知はしていたようでしたが、基本は家にいませんでしたし顔も知りませんでした。

なので、物心がついた時から私は母と2人で暮らしていました。

母は所謂“お妾さん”と言うヤツで、父が私のことを認知してお金をもらっているのをいいことに自分から外へ働きに出るなんて言うことはありませんでした。

持病を持っているから働きに出れないと、周りに嘘をついていました」

川西はバカにするように笑った。

「母が周りに何を言ったのかはわかりませんが、“夫に捨てられて、持病を抱えている中で娘を1人で育てている健気な母親”と周りはそんなことを思っていました。

悲劇のヒロインを演じて、周りもそんな母に騙されて…母はもちろん、母に騙されてる地元の人間が嫌いになったのは言うまでもありません」

川西はしゃべり過ぎたと言うように息を吐いた。