数日が経った。

奈帆はイライラしていた。

そんな彼女を周りはどうすることもできなくて、遠くから見ていることしかできなかった。

「ーー何で…」

奈帆は自分のイライラの元凶であるそちらの方に視線を向けた。

「何であんたがここにいるのよ!?」

そこにいたのは、
「あなたが逃げないように監視をしてくれと頼まれましたので」
と、川西は答えた。

「哲郎はどこにいるのよ!?」

「前坂さんなら秘書代行として『二月銀行』の本社にいますのでご心配なく」

怒鳴るように聞いてきた奈帆に川西は動じていないと言う様子だ。

奈帆は息を吐くと、川西をにらみつけた。

地獄の鬼も裸足で泣きながら逃げ出すんじゃないかと思うくらいににらみつけられていると言うのに、川西は気にしていないようだ。