相馬青葉の返事に会場がざわついた。

「そ、そんなことって…！？」

「嫌よー！」

「何かの間違いに決まってる！」

あちこちから聞こえる招待客の声は、奈帆の耳に届いていなかった。

「な…奈帆ちゃん、大丈夫…？」

そんな彼女に声をかけてきたのは、母方のいとこである前坂哲郎（ﾏｴｻｶﾃﾂﾛｳ）だ。

彼も目の前で起こった突然の展開にどうすればいいのかとオロオロとしていた。

（つまり、そうなのよね…！？

彼は女の人を連れているし、“そう言うことだ”と言うことは…そうなんだよね！？）

奈帆は自分の躰がブルブルと震えているのがわかった。

しかし、この震えは怒りからくるものではない。

「ヨッシャー！」

奈帆は拳を上にあげて大きな声で叫んだ。