「そうか、そうだよね!

あいつが勝手に言ってるだけかも知れないし、お父さんは最後まで見ていた訳なんだし、間違いの可能性があるよね!

と言うか、お父さんだって婚約破棄することを許してくれたんだもん!

あいつの隣に女がいるのを目の当たりにしたから許してくれたんだもん!

そうだそうだ、きっとそうだ!」

奈帆はうんうんと大きく首を縦に振ってうなずいた。

「よーし、仕事が終わったらすぐに実家に乗り込んでやる!

私の望みはまだ捨てた訳じゃない!

あきらめないのが肝心よ!

試合終了で終わってたまるものですか!」

「何だこいつは…」

鼻息を荒くして大きな声をあげている奈帆にエイジは思わず呟いたが、彼女の耳に入っていないようだった。