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中学時代に出会った丸山の男と相馬の女は結婚の約束をしていた。

ところが丸山家に召集令状が届いて、彼は特攻隊員として戦地へ向かうことになった。

爆弾を積んだ戦闘機で敵の船に体当たりをして沈没させるのが目的なそれは、いわば国から“死ね”と言われているようなものだった。

死にたくないなんて、そんなことを言っている場合じゃない。

今では本当に考えられないことだけど、当時はお国のために、天皇陛下のために…と喜んで戦地へと向かうのが当たり前だった。

2人は“いつか日本に平和が訪れたその時に自分たちの血を必ずひとつにしよう”と約束をして、彼は戦地へと旅立った。

その数日後、当然のことながら彼は帰らぬ人となってしまった。