「好き」って言ってよ!

年齢は青葉の方が年上だったはずだ。

期待に満ちているその顔はまるで犬のようだと奈帆は思った。

(これ、私が呼ばなかったらこのままなんだよね…?)

「さすがに今度と言う訳には行かないわよね?」

奈帆がそう聞いたら、
「今すぐに呼んで欲しい」
と、青葉は答えた。

わかってはいたことだが、引き下がらないみたいだ。

呼び捨てだったのか、それとも何か敬称をつけていたのかはわからないけれど、自分はどんな風に彼のことを呼んでいたのだろうか?

彼の名前を呼ぶのは久しぶりなので覚えていない。

奈帆は気持ちを落ち着かせるために深呼吸をすると、唇を開いた。

「ーー青葉…」

果たして呼び捨てであっていたのだろうか?

久しぶりに自分から名前を呼ばれた青葉はとても嬉しそうな顔をした。