奈帆の目の前にいたのは、吉田花恋(ヨシダカレン)と言う高校時代の同級生だった。

彼女の実家は総合病院で父親がその病院の院長、母親は公家の娘だったとどこかで聞いたことがあった。

容姿端麗で成績優秀なお嬢様だった…のだが、彼女の2歳下の妹が援助交際をしていたと言う事実が発覚して学校を追放されたのだ。

「別にいいじゃない」

そう言い返した花恋に、
「いや、よくないわよ!

勝手に人を拐ったくせに何を言ってるのよ!」
と、奈帆はすぐに言い換えした。

「と言うか…私、何であなたに誘拐されたの!?」

奈帆は自分が誘拐された理由がわからなかった。

彼女とは同級生だったと言う関係だけで、仲良くしていた記憶もなければ他に接点があった記憶もない。