後頭部を殴られたと言うことだけは覚えている。

「ーーッ…」

奈帆は閉じていた目を開けた。

「ーーここ、どこだ…?」

自分がいる簡易ベッド以外は何も置かれていない部屋を見回しながら、奈帆は呟いた。

身に着けている服はそのままだから、何かをされたと言う形跡はない。

持っていたカバンはどこへ行ったのかわかない。

自分の身に何が起こったのか、どうしてここにいるのかを理解できないでいたら、
「ーー気がついた?」

声が聞こえたので、奈帆はそちらの方へと視線を向けた。

「ーーあっ…!」

その人物の顔を見た奈帆は声をあげた。

「あら、覚えていたのね」

そう言った人物に、
「あなた、高校の時の同級生よね?

何でこんなことをしたのよ!」
と、奈帆は言った。