「え、嘘。全然そんなつもりなかったんだけどな」



そう言いながら本当にそんなつもりはなかったという顔をしていて。



「それなら、何かあったんですか?」


「んー。なんていうか、親から連絡が来てて」


「なんてきてたか聞いてもいいですか?」



先輩があまりにもやつれた、悲しい笑い方をするからつい聞いてしまった。



「俺が決めた大学に行けって。父さんが」


「それは先輩が行きたいところなんですか?」


「全然。俺が行きたいいのは医学部がある大学なんだけど。父さんが行かせたいのは有名な経営学部があるここの大学なんだよね」


「絶対に諦めちゃダメですよ。負けないでください」



私がそういうと先輩は目を見開いてその後優しく私に笑いかけてくれた。



その時、私はこう思ってしまった。




ああ、私先輩のこと好きだな。




「愛ちゃん?いきなり顔赤くなったけど大丈夫?」


「………!だ、大丈夫ですから!早く行きますよ!」