「せ、先輩こそ何してるんですか?委員長が抜け出しちゃってもいいんですか?」


「愛ちゃんがいないところなんかに俺の居場所はないですから」


「な、何言ってるんですか?」


「で、まだ怒ってるの?」



そう。私は怒っています。


この間、なぜか先輩にキスをされてしまって。


怒っているというよりは、先輩にキスをされたのが嫌じゃなかったことに驚いているというか……。



「お、怒ってます……!」



それに、次の日からも先輩は何事もなかったかのように私に接してくるから。

先輩にとっては、“たかがキス”だったのかなって。



「ごめん」


「な、なんで謝るんですか」


「そんなに嫌だったのかなって思ったから」


「嫌っていうか…嫌じゃないから困っているんですけど……」



先輩のことはなんとも思ってないはずなのに。