目が覚めると、私は自分の部屋にいた。


周りを見渡すと、そこには私の手をぎゅっと握る皐先輩がいた。




「せん……ぱい?」




声をかけてみたけど、返事がない。

寝てる…のかな?




「先輩……なんか、ありがとうございます…」




きっとここまで連れてきてくれたのは先輩だから。


聞こえないウチにお礼を言っておく。


それなら、悪いことは起こらなそうでしょ?




「どういたしまして」




ん?





「ね、寝たふりしてたんですか!」


「ごめんごめん、悪気はない」




先輩が体を起こして私と目が合う。


途端に、昨日の夢を思い出した。




「先輩…もしかして小さい頃、私と一緒に夏祭りいきましたか?」


「もしかしてだけど、思い出したの?」


「た、ぶん……」