息づかいが甘い。
それがまた耳に心地いい。
もうこのまま蕩けてしまいそう。

「このままやえを抱いてもいいか?」

耳元で囁かれる声がしっとりと熱を孕む。
それだけで愛されていることを実感してきゅんと胸が震えた。

そんなの、良いに決まっている。
私だってとっくに智光さんを求めているのだから。

「私、智光さんとひとつになりたいです」

「やえ、どこでそんな言葉を覚えたんだ。可愛すぎて俺がどうにかなりそうだ」

口角を上げ柔らかな笑みを落とした智光さんは、私をひょいっと持ち上げる。

「わわっ」

「せっかく大きなベッドを買ったんだ。そっちがいいだろう?」

何だか恥ずかしくなって智光さんにしがみついたけれど、寝室まで来るとゆっくりとベッドに下ろされた。丁寧で優しい手つきに心臓がトクンと高鳴る。

緊張で、まるでシーツに縫いつけられてしまったのではないかと思うほど私の体は動かずベッドへ沈んでゆく。

智光さんが私の肌に触れるたび、ビクンと熱を帯びたかのように反応した。丁寧にゆっくりと肌が露わになっていく。

「さっき、自分以外の前で裸になるなと言っていたが、やえも誰にも見せないからな」

「見せませんよ! ……智光さんにだけですから。智光さんにしか……見て……欲しくないです」

「ああ、やえは俺のものだ。とても綺麗だ」

「智光さん……んっ」

じん、と体が痺れた。
甘くしっとりとした吐息と熱を孕んだ想いが頭を麻痺させる。
もっともっとと欲張りになる。
触れ合う肌が愛を刻み、幸せで満ち溢れた。

「愛している」

耳に何度も届く声。
こんな日が来るなんて夢にも思わなかった。
涙がじわりと目元を潤す。

心も体も繋がって、今日私たちは正式に夫婦になれた気がした。