隠れ雨
  すれ違いスコール


一緒に手を繋いで、いつもの公園に行った。

思い出はいつまでも消えないで、私の心の中にあった。
桜が待っていて、その花びらを掴もうとして。

君は私のために一枚、また一枚と取ってくれた。


急に、激しい雨が降って来た日。


君は私を見つけてくれた。

その雨はすっかり晴れていて、私の涙をも乾かしてくれて。
君は桜の花びらをくれた。

二人の想いは誰にも聴こえない。

止められない、触らせない、聞かせない、終わらない。

手を繋いで、怖い夜道もツキアカリが照らす。
優しい光が私達を溶かし、優しい夜風は私達を押した。


またあの雨が降って来た。


君は私を覆い、私の髪だけ少し濡れていて。
暖かい手、瞳は緩くて。

またあの雨は夜風に乾かせれ。

髪は桜と共になびく。

心も君になびいていって、私は強く手を握りしめた。
笑顔、微笑んで家路をたどる。

二人の影は果てしなく伸び、ただ立ちつくす。

もう君を見失ったりしない。
あぁ、この素晴らしい夜空に誓おう。

落とした桜は飛んでゆく。

どこまでも、どこまでも。


果てしなく。