あのスーツ男子はカクテルではなく土の匂い


 周りを見渡すと、見たことのない部屋。

 え?この匂い。緑の匂い。
 宗吾さんの香りだ。

 そうだ、昨日宗吾さんの家に連れてこられて……ここ彼のベッドだ。

 身体を起こそうとしたら腰が痛くて、立ち上がれない。
 ……思い出した。ここに来て、水を飲んで。

 シャワーを借りて。
 さっぱりしたら、彼もシャワーから出てきて。
 それで……。

 はじめてを全部彼にあげたんだった。
 キスされてそのままベッドへ。

 私も拒むことはなかった。
 進んでいいと思えた。
 彼のなすがままだった。

 「玲奈、可愛い。好きだよ……」
 そう言いながら、ゆっくり進んでくれた。
 はじめてで色々大変だったけど……。
 筋肉質の大きな身体の下で翻弄されて、気づいたら眠ってしまっていた。