あのスーツ男子はカクテルではなく土の匂い

 
 「ねえ、玲奈。玲奈のところの日高さん、かっこいいって有名だよ」
 
 「そうなの」


 「そうなのじゃ、ないでしょ。どうなの、玲奈としては」
 
 「私としては?そうね、人気があるのは分かる。イケメンだし、優しいからね」


 「玲奈ったら。日高さんだって、玲奈のことまんざらじゃないと思うけどな」
 
 「絶対ないよ。一緒に仕事以外の話以外したことないし」


 「玲奈から話しかけてみたらどうなのよ」
 
 「いい。興味ないし」


 「……」

 いいじゃない。私の人生だもん。


 「由美、内緒だけど、私最近は、バーに通ってるの」
 
 「え?何で?誰と?」


 由美が驚いて、前のめりに聞いてくる。

 あんまり心配するから少しだけ教えてあげよう。