あのスーツ男子はカクテルではなく土の匂い


 「……我慢させてごめんなさい」
 
 「あーごめん、そういう意味で言ってんじゃないから。もう、よくわかんなくなってきた」
 
 そう言うと、車に押し込まれて、シートベルトをしてくれる。

 そのまま、またキスされてしばらく動けない。

 ぼんやりした目を開けて彼を見れば、クスッと笑っている。
 
 「玲奈、眠そうだな?でも今日は寝るにはまだ早い。寝ても着いたら起こすからな」
 
 そう言うと、自分の座席に戻り、車を発進させた。

 そのまま彼の部屋へ連れて行かれたのだった。


 
 チュンチュン♪……鳥の声がする。

 気がつくと、窓から高い日差し。

 大きな樹が見える。
 
 何時だろう?

 っていうか、ここどこ?