幼馴染は溺愛されてる?私を独り占めしたいらしい

そこに座っているのは、全国の親分衆を束ねてる伝説の大親分でこの学校を創立し、運営している二階堂 泰造(にかいどう たいぞう)

二階堂組の頭領で日本一の任侠の者。

『弱きを助け強きをくじく』を生き様とし、これまで多くの者を助け、日本国民のヤクザのイメージを変えたまさに伝説の男。

そして私の祖父である。

「おじいちゃん、わざわざ理事長室に私を呼び出してどうしたの?」

そう問いかけるとおじいちゃんは少しシワシワになった唇を開いた。

「今日はお前に頼みがあってな。」

「頼み?」

頼みならわざわざ学校じゃなくても聞くのにな…。

けど真剣な顔をしているおじいちゃんを見ているとここでしか話せないような重要なことなんじゃないかと思い、静かに返答を待つ。

もしかして、おじいちゃんの身に何か危険があるとか?

それとも組の中に裏切り者がいるかもとか?

頭の中でそんな悪いことを想像しているとおじいちゃんがすごく真剣な目で私に言った。

「美紅、彼氏を作れ」

…へ?彼氏…?

私が想像してたセリフと違いすぎてポカーンと口を開いているとおじいちゃんが続けて話を進めた。

「実は、今新しい事業に取り掛かろうとしているんだが、それに金が必要でな。足りないことはないんだが少し余裕を持ちたいんだ。それでだ、お前が今年のベストカップル賞を受賞すればお前の彼氏に半分やっても5000万円は美紅のものになる。もちろんその中の一部は美紅の小遣いにする。」

話がいきなりすぎて頭が追いつかない。

えっと…つまり、お金に一応余裕を持っておきたいから私が彼氏を作って、ベストカップル賞を受賞して、少しでも出費を減らしたい。ちゃんと美紅にお小遣いもやるから協力してくれないか…と…。

「頼む美紅、わしも今年で65になる…。このくらいの歳になると自分の身に何が起こるか分からん。もしわしの身に何かあった時にお前たち家族に負担をかけたくないんだ…。だからと言って賞金を減らすなんてことはできない…。お願いだ美紅…。」

おじいちゃんは椅子から降りて私に頭を下げている。

「無理にとは言わん。わしもお前が嫌がることに強制して頼むことはせん。」