なんて線の細い子なんだろう。
 これが私のローゼマリーに対する第一印象だった。

 王都に近い影響もありうちは公爵家でありながらそれほど広大な領地を持っているわけではない。
 むしろ宝石商や画商で富を得ている伯爵家や侯爵家のほうが領地が広いだろう。
 そんな領地の中で修道院は一つだけ存在していた。
 これもまたそれほどの規模ではなかったが、身寄りのない子が三十人ほど暮らしている。
 ローゼマリーもその一人だったのだが、私が彼女の存在を知ったのは火事で修道院が燃え尽きた時だった。

 明け方に出火したとみられる火はおそらく葉巻の吸い殻の不始末が原因ではないかと見られている。
 私は父上から見せてもらったその報告書を見てため息をついた。