翌日のことです。
 私の婚約の儀は王宮にて執り行われるということで、私は失礼のない婚約に相応しい少し豪華な衣装で向かいます。

「ローゼマリー様、いってらっしゃいませ」
「(ふんふん)」
「あの、これよかったら……」

 クリスタさんが渡してくださったのは綺麗な四つ葉のクローバーをモチーフにしたしおり。
 鳥さんが四つ葉のクローバーを加えて飛んでいる絵がかいてあります。
 昨日私もクリスタさんに髪飾りをお渡ししたのですが、まさかお返しをいただけるとは。
 嬉しいです、ありがとうございます!

 クリスタさんとはここでお別れになってしまいます。
 なので、お別れのご挨拶をして、私はお父さまとお兄さまと一緒に馬車へと乗り込みました。
 窓の向こうではお世話になった皆さんが手を振ってくださっています。

 お屋敷の皆さんは声が出せない私にいつも優しく接してくださいました。
 なんてお礼を言っていいのか……。
 皆さん、本当に、本当にお世話になりました。ありがとうございました。

 馬車は次第に王宮の入口へと入っていきます。
 お兄さまは昨日婚約のことを聞いたそうですが、夜から何も声をかけてくださいません。

 馬車を降りると、王宮の皆さんのお出迎えが待っており、そのまま謁見のへと向かいました。