約束された結婚ーー鬼の花嫁は初恋相手と運命の相手に求婚される

「君達は今、キスしていたね？　ね？　ね？　お母さんだって見てただろう？　桜子がキスをしていたよな？」

　お父さんはわたしと四鬼さんの隣で正座して詰め寄ってくる。抱き締められた状態じゃ言い逃れは出来ない。というか誤魔化すも何も四鬼さんにキスされて嫌じゃなかった。

　四鬼さんの唇が触れた箇所がポカポカして温かい。力が湧いてくるような。

　なんて言い返したらお父さんが泣き出しそう。一緒に戻ってきたお母さんに助けを求めると複雑な顔をされた。

「お父さん取り乱し過ぎよ。会長が仰った事は本当で、桜子と彼は付き合ってるの。本人に確認するまで私も信じられなかったけど、こんなの見せ付けられたらねぇ？」

「いいや！　お父さんは信じないぞ！　桜子に彼氏がいるなんてお父さんは信じないぞ！」

　お父さん等の話が見えない。
　と、四鬼さんがわたしの手を取り立ち上がる。

「あぁ、父から桜子さんとの交際について話があったようですね。僕は桜子さんと将来を見据えたお付き合いをしていきたい、その為にも健康になって貰いたいのです」