辞退したつもりでいたが、どうやら柊先生が自宅に連絡を入れたみたい。

 泣きながらお父さんの励ましに頷くお母さんに切なくなり、足が部屋へ戻りたがった。2人に気付かれぬよう、そっと後退する。

 静かにドアを締め、座り込む。

 この体質が遺伝だと思っていない。ましてお母さんのせいなんて考えてないし、わたしがおかしいだけなのに。

 どんな気持ちでお母さんが美術部への入部を勧めていたのか知り、自分が取ってきた態度がどれほど悪かったか。どれほどお母さんを傷付けていたのか。心苦しい。ごめんなさい。

 机の引き出しへ手を伸ばし、真新しいスケジュール帳を出してみる。これは涼くんのおばさんとお揃いで購入したものだ。

 わたしは今週の土曜日の欄にまる印をつけ、予定を書き込む。