約束された結婚ーー鬼の花嫁は初恋相手と運命の相手に求婚される

　涼くんは涼くん、四鬼さんは四鬼さんだと告げた。

「ーーバカ、いきなり火の玉ストレート投げんなよ」

　珍しく照れる涼くん。珍しい。

「？　でも、わたしは玉の輿に乗りたくて結婚したりしない。それと四鬼さんは嘘に付き合ってくれただけ」

「ならいい」

　帰り道、四鬼さんとのやりとりに一切触れてこなかったので、涼くんは誤解すらしないと思っていた。
　どう考えても、わたしが四鬼さんの花嫁になるなんて有り得ない話だ。といえど、涼くんに少しも興味を示されないのは寂しいのでこれで一段落つく。

「付き合う？　結婚？　玉の輿？」

　お父さんがこちらの世界に帰ってくる。

「涼くん、おじさんは桜子をお嫁に出すなら君と昔から決めていた。だがな、それは桜子が大人になってからの話で、高校生のうちから手を出されたら困る！」

　わたし達の会話を抜粋し、主に涼くんへ真顔で詰め寄り始めた。

「な、なに言ってるの！　お父さん！」

「最近の子は早熟だし、桜子はご覧の通り可愛い、可愛いが過ぎている。涼君の気持ちが分からないではないが、きちんと責任をとってくれるんだろう？　桜子と結婚してくれるよな？」